レベル別に解説!AI講師が選ぶKaggleのおすすめ参考書

データサイエンスを勉強していくなかで「そろそろKaggleで腕試しをしたい」という方や、「そもそもKaggleがなにかを知りたい」「コンペに参加するかどうかも悩む」という方も多いのではないでしょうか?

「Kaggleを勉強したいもののどうやって勉強してよいかわからない……。」そんなとき、おすすめしたいのが参考書を活用した網羅的な学習です。

本記事では、現役データサイエンティストかつ、AI・統計の資格講師でもある著者の視点を交えて、おすすめの書籍を紹介していきます。

監修者
經田 原弘
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻修了。大学時代は3次元の医療データの平滑化処理を研究テーマとし、大学院時代はJAXAと協業し、月探査機かぐやの衛星データから、月面上の水の存否について調査していた。新卒では株式会社リクルートにてレコメンドシステムの開発等に従事し、現在は製造業系スタートアップにてデータサイエンティストとして勤務。応用情報技術者試験・E資格合格者。

目次

Kaggleとは?

Kaggleのロゴ

Kaggleは、100万人以上の利用者を誇る世界最大のデータサイエンスおよび機械学習のプラットフォームです。与えられた様々な問題に競い合いながら自分の技術を試すことができるサイトとして人気があります。

Kaggle活用の目的は「学習」と「競争」

Kaggleへ参加する目的は大きく「①Kaggleを使って学習する」「②Kaggleで競争する」という2つに分けられます。

Kaggleでは多くの機能が提供されていますが、なかでも非常に便利なのが「Competition」「Notebooks」「Datasets」という3つの機能です。はじめに、これら各機能が何であるのか、そしてそれらを活用することで得られるメリットについて見ていきましょう。

目的①:Kaggleで学習する:Datasets、Notebooks

  • Datasets

    「Datasets」ではさまざまなデータセットをダウンロードして、データ分析や機械学習に活用することができます。

    たとえば、「Netflixのユーザートレンドデータ」「Covid-19の各国の感染者数と死亡者数」など、ネット検索では得られない幅広いデータセットがダウンロード可能という点がKaggleのメリットのひとつといえるでしょう。

    自身の目的に合ったデータセットを見つけ、学習に活用しましょう。
  • Notebooks

    「Notebooks」の活用メリットは、上級者ユーザーの書いたコードを見て、自分のコードとの違いを学習できるので、自身の学習に役立てられることです。

    画面内でコーディングができることに加えて、コードを共有したり、ほかのユーザーからフィードバックを貰えたりします。ほかのユーザーが構築した予測モデルのコードや説明も公開されています。

    たとえば、「このコードはRescalingの前処理をして、ニューラルネットワークのアルゴリズムを適用しています」というように、初心者にも優しく説明がされている「Notebooks」が多くあります。

目的②:Kaggleで競う:Competition

Kaggleには「Competition」という機能があり、データ分析や機械学習に関連するさまざま問題を文字通りコンペ形式で解き、自身のスキルを試すことができます。

実際に企業や政府が直面している問題を掲載しているので、実務での活用方法やコーディングスキルを身に付けることができます。

また、問題が解けなくても、他の参加者のコードや考え方を見て、さまざまな考え方やアプローチを比較できるので、自身では気づけない手法の理解を深めることができます。

さらに、コンペティションの成績上位者になると賞金がもらえる問題もあるので、プログラミングスキルに自信のある方は賞金も狙えます。ゲーム感覚でデータサイエンスを学べる、おすすめの学習法でもあります。

コンペへの参加をおすすめする理由

編集部では、たとえ初心者でも一度はチャレンジしてみることをおすすめしています。

もちろん一概には言えませんが、Kaggleで上位に表出すると、データサイエンティストとして実務上でも同様のパフォーマンスができることと近しい意味合いとなるため、実力試しとしても、既にある実力に拍をつける意味としてもKaggleへ参加してみることがおすすめです。

Kaggleの参考書を選ぶポイント

Kaggleは大きなプラットフォームのため利用用途は人によりけりですし、参考書も同様に選び方を知ることが重要です。ここからは編集部が考えるKaggleを学習する上での参考書の選び方を紹介していきます。

Kaggleの参考書選びのポイント
  1. 自身のレベルや目的に合っているか
  2. 実データやサンプルコードが豊富か

ポイント①:自身のレベルや目的に合っているか

前述の通り、Kaggleにも多様な使い方があります。

Kaggleの競技に参加して上位を目指すのか、基本的なデータ分析のスキルを磨きたいのか、深い理論的な知識を身につけたいのかなど、それぞれの目的に合わせた参考書を選ぶことが大切です。

データサイエンスの初心者は、Pythonの文法やアルゴリズム構築の機械学習の理論的な基礎を学べる本を選ぶと良いですし、逆にある程度慣れてきている経験者は、より「勝つこと」に焦点を当て、特定のアルゴリズムやテクニックを学べる本を選ぶと良いでしょう。

ポイント②:実データやサンプルコードが豊富か

Kaggleは、データサイエンスを実際の問題解決に活用することを想定したプラットフォームです。実際に手を動かして学べる内容がどれほど含まれているかが重要となります。

サンプルデータやコードがセットとなり、データの前処理や可視化、モデルの訓練までの一連の流れを説明しているものを選ぶことをおすすめしています。

前提となる数学的な理論だけでなく、実データを扱った例やライブラリを使ったコード例が豊富に含まれている本を選ぶと、実際にPythonやRでのコーディングに落とし込む際に役立ちます。

なお、小売業の売上予測や医療の疾患診断など、具体的な業界やビジネス上の課題をベースにしたケーススタディをベースとしている場合、より実務への応用が効きやすく、おすすめです。

Kaggle学習のおすすめ参考書

ここからは上記の2つの選び方に合わせて、編集部が厳選したKaggleを学習できる良書を紹介していきます。

下記はデータサイエンスのレベルとの対応を確認したい方向けに、編集部が選んだ本の一覧です。特にコンペで勝ちたい場合は明確に目的が異なりますので、是非ご参考ください。

スクロールできます
レベルおすすめ参考書
初心者
(Kaggleを基礎から学びたい)
PythonではじめるKaggleスタートブック
データサイエンスの森 Kaggleの歩き方
中級者
(データ分析・機械学習の知識を深めたい)
Pythonで動かして学ぶ!Kaggleデータ分析入門
Kaggleで磨く 機械学習の実践力
上級者
(コンペでより上位を獲得したい)
Kaggleコンペティションチャレンジブック
Kaggleで学んでハイスコアをたたき出す! Python機械学習&データ分析
The Kaggle Book データ分析競技 実践ガイド&精鋭31人インタビュー

【初心者】PythonではじめるKaggleスタートブック

本書はKaggleに興味あるKaggle初学者が実際のコンペティションに参加できるようになることを目的に書かれているので、Kaggleのアカウント作成やTitanicの取り組み方など基礎からKaggleを学ぶことができます。

とくに、TitanicはKaggleのコンペティションの1つであり、チュートリアルとして多くの初学者が利用しており、学習を始めやすいので初学者に非常におすすめです。

付録の「サンプルコード詳細解説」には、コードの解説がわかりやすく書かれているので、学習しながらコードの理解も深めることができます。

192ページと比較的短いので、Kaggleの概要を効率的に理解することができるでしょう。

【初心者】データサイエンスの森 Kaggleの歩き方

ログインの仕方、どのようなサイトなのか、Kaggle特有のルールなど初学者が知っておくべきKaggleの基本知識を一通り学習することができます。

そのため、Kaggleに登録したけれど使い方が分からないという方には非常におすすめです。

単にKaggleの使い方を解説するだけではなく、実際のコンペティションの事例も学習できるので、すぐにコンペティションに参加できるレベルになるでしょう。

ただ、Kaggleの概要解説が中心になっており、データ分析や機械学習手法の解説は少ないのでご注意ください。

【中級者】Pythonで動かして学ぶ!Kaggleデータ分析入門

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¥2,574 (2023/10/01 00:00:44時点 Amazon調べ-詳細)

データ分析に必要な知識に加えて、Kaggleにチャレンジするフローや初学者向けコンペティションの参加方法を学習することができるので、コンペティションに参加したいという方に非常におすすめです。

また、データの前処理やデータ分析でサンプルコードをそのまま活用できて便利だったというAmazonレビューもあったので、コードに自信のない初学者におすすめです。

Kaggleの初学者向けチュートリアルである「Titanicコンペティション」「House Pricesコンペコンペティション」でデータ分析の手法や精度を上げるプロセスを学習できるので、実務に近いデータ分析スキルを身に付けることができます。

368ページと内容も豊富にあるので、Kaggleでデータ文分析スキルをじっくり学習したい方におすすめです。

【中級者】Kaggleで磨く 機械学習の実践力--実務xコンペが鍛えたプロの手順

本書はコンペティションを通じて、機械学習の進め方を学習することができます。ただ、理論だけで機械学習を学ぶのでなく、コンペティションを通じて実務に近い機械学習を学べる点がおすすめです。

データ処理に関する一連の作業を「ベースライン作成」「特徴量エンジニアリング」「モデルチューニング」の3STEPに分けて学べるので、機械学習について体系的に理解できるでしょう。

また、数式が少なく、文系読者でもつまずきにくい点が評価されており、Kaggleの参考書の中でもAmazonレビュー評価4.2/5(2023年8月現在)と非常に高いのでおすすめです。

【上級者】Kaggleで学んでハイスコアをたたき出す! Python機械学習&データ分析

本書はコンペティションで出された課題を通じて、機械学習やディープラーニング、アンサンブル、転移学習などを学べるので、コンペティションで上位を狙うスキルを身に付けることができます。

コンペティション上位入賞者が使っているテクニックも学習できるので、学んだ知識をすぐにコンペティションで活用できるでしょう。

多層パーセプトロン(MLP)の活用方法や転移学習からのファインチューニングの手法など高度な処理方法を学習できるので、中級レベル以上の方には非常におすすめです。

ただ、473ページと内容も膨大なので、重要箇所だけ効率的にKaggleを学習したい方は注意が必要です。

【上級者】The Kaggle Book データ分析競技 実践ガイド&精鋭31人インタビュー

本書はCompetition」「Notebooks」「Datasets」の解説にはじまり、モデルの評価指標、検証戦略、ハイパーパラメータ最適化について学習できるので、コンペティション上位を取るために必要な知識を基礎から学ぶことができます。

また、随所にGrandmasterやMasterを有している31人のインタビューも掲載されています。コンペティション上位者がどのような処理を行っているのか、どのように考えてコードを書いているのかという実例も学べるので、すぐに知識を活かすことができる点がおすすめです。

ただ、456ページと内容も膨大なので、重要箇所だけ効率的にKaggleを学習したい方は注意が必要です。

【上級者】Kaggleコンペティションチャレンジブック

本書は過去のコンペティションから機械学習モデルの正確性を高める手法を学習できるので、コンペティションで上位を取りたい方におすすめです。

各章でコンペティション別に主催側の動機、評価の基準、アプローチ方法、上位者のヒントなどコンペティション上位に必要な知識を網羅的に学習できます。

サンプルコードも付いていて、実際に手を動かしながら学習できるので、学習内容が定着しやすい点がおすすめです。

まとめ

Kaggleの参考書の選び方のポイントから、Kaggle学習のおすすめ参考書を紹介してきました。自分に合った参考書は見つかったでしょうか。

Kaggleを活用することで、実務で活かせるスキルを身に付けることができるだけでなく、より効率的に学習を進めることもできます。この記事が皆様の学習の一助となれば幸いです。

編集部ではプログラミングに関連する記事をほかにも公開しています。興味のある方はぜひこちらの記事もご覧ください。

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この記事を書いた人

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