AI講師が解説するデータサイエンス数学ストラテジスト(中級・上級)の難易度・勉強方法・参考書

データによる意思決定が行われていくことを考えると、統計・データサイエンスは文系・理系にかかわらず多くの人に今後必要となるスキルとなることでしょう。

「データサイエンスを学ぶ上で必要な数学を事前に学んでおきたい」という方におすすめなのがデータサイエンス数学ストラテジストです。

しかしながら、2021年に新設された資格ということもあり、「取得することでどのようなメリットがあるのか」「難易度はどの程度で、どれくらい何を勉強すれば合格できるのか」など色々な気になりがあると思います。

そこで本記事では現役データサイエンティスト・資格講師の視点から、データサイエンス数学ストラテジストのメリット、難易度、勉強方法まで1記事でまとめて解説をしていきます。

監修者
經田 原弘
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻修了。大学時代は3次元の医療データの平滑化処理を研究テーマとし、大学院時代はJAXAと協業し、月探査機かぐやの衛星データから、月面上の水の存否について調査していた。新卒では株式会社リクルートにてレコメンドシステムの開発等に従事し、現在は製造業系スタートアップにてデータサイエンティストとして勤務。応用情報技術者試験・E資格合格者。

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目次

データサイエンス数学ストラテジストとは?

まずはデータサイエンス数学ストラテジストがどんな資格で、学習することでどんなメリットがあるのかを確認していきましょう。

試験概要

公式HPより引用

データサイエンス数学ストラテジストはデータサイエンスの基盤となる数学スキルを問う資格試験です。

運営母体の日本数学検定協会は「実用数学技能検定、通称(数検)」を30年以上運営しており、カリキュラムへの一定の信頼性・権威性があります。

中級と上級の2種階級があり、データサイエンスの基盤となる基礎的な数学(確率統計・線形代数・微分積分など)と実践的な数学(機械学習系・アルゴリズム系・ビジネス系数学など)の習熟度・理解度を測定する問題を出題します。*出題範囲や難易度は後述

試験形式

データサイエンス数学ストラテジスト試験は、IBT(Internet-Based Testing)方式により実施しています。IBT方式は、どこかの会場を選択することなく、自宅で受験できる点が特徴です。

問題形式

中級上級
受験資格なしなし
問題数30問40問
試験時間90分120分
合格基準60%(18問)以上70%(28問)以上
受験料7,000円9,000円

中級は五択の選択式問題が30問、上級になると40問に増えます。中級も上級も、等しく1問あたり3分程度の回答時間となります。

出題範囲の詳細は後述しますが、数学の計算問題が半分、機械学習やビジネス上の問題解決スキルなどの問題となります。

1問あたり3分と考えるとじっくり考える余裕があるように見えますが、実際の受験者の感想としては意外とペース配分を誤ると時間に厳しくなるというコメントもありますので注意しましょう。

取得メリット:データサイエンスに必要な数学を網羅的に学べる

データサイエンス数学ストラテジストの取得メリットは、データサイエンスに必要な数学を網羅的・段階的に学べることです。

学習において多くの人が挫折するポイントが、「XX(ある知識・分野)が理解できないが、どの数学知識から勉強し直せばよいかわからない」というもの。

それもそのはずで、データサイエンスに必要な数学知識は高校から大学基礎課程でバラバラと学んでおり、いつ躓いたかがわかりづらいですし、そもそも人によっては習っていない可能性があります。

データサイエンスにつかう数学を「正しい順番で、正しい量」学ぶことで、再度の学び直しや学習モレを防ぐことができることが資格取得の大きな意味となるでしょう。

データサイエンス数学ストラテジストの難易度

前章までで試験のざっくりとした全体観を把握したので、次は具体的に出題範囲を見ていきます。

中級と上級の出題範囲の違い

データサイエンス数学ストラテジストの中級・上級の違いは「①数学のレベル」と「②出題の構成比」の2点です。

違い①:出題の構成比

具体的な出題範囲の違いをまとめたのが下記の表です。

中級・上級ともに「数学」の配分は50%ずつ、その他(機械・深層学習、アルゴリズム・プログラミング、ビジネス)の構成比が中級はそれぞれ16.7%ずつなのに対して、上級は機械・深層学習の配分が多くなっています。

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学習分野詳細構成比(中級)構成比(上級)
AI・データサイエンスを支える計算能力と数学的理論の理解確率統計系分野(統計・確率・場合の数など)
線形代数系分野(行列・ベクトルなど)
微分積分系分野(微積分・関数・写像など)
50%50%
機械学習・深層学習の数学的理論の理解基礎理論(活性化関数・類似度・最小二乗法)
機械学習(回帰・分類・クラスタリングなど)
深層学習(ニューラルネットワークなど)
16.7%25%
アルゴリズム・プログラミングに必要な数学リテラシーアルゴリズム(探索・ソート・暗号、計算量)
プログラミング言語に依存しない手続き型思考
数学的課題解決(論理的思考+数学的発想)
16.7%12.5%
ビジネスにおいて数学技能を活用する能力把握力(データ・グラフの特徴の把握など)
分析力(売上・損益等財務的な分析など)
予測力(データに基づいた業績予測など)
16.7%12.5%

違い②:数学のレベル

中級・上級ともに学習の分野としては同一ですので若干混乱もありますが、求められる数学のレベルが異なります。

試験レベル高等教育でのカリキュラム数検で表したときのレベル
中級数学Ⅰ・Aまで数検準2級程度
上級大学初学年程度まで数検2級・準1級

具体的にどれくらいの難易度かがイメージしづらいと思いますので、公式HPで公開されているサンプル問題をベースにレベルの確認をしていきましょう。

サンプル問題(中級)

上級の問題では、高校数学の一次関数の知識が必要になります。

他にも、中学数学(1次関数・平方根・方程式など)や、基本的な統計(平均値・中央値・標準偏差など)も求められるため、不安な方はしっかりと復習しましょう。

サンプル問題(上級)

一方で上級の問題では大学で学ぶ応用数学の「線形代数におけるベクトルの計算方法の知識」の知識が必要になります。たとえば上記の問題だと、線形代数の基礎を学習することで解答が可能です。

難易度

同じ出題範囲だとしても、単元の「レベル」が異なってくる上にその開きが大きいことが中級と上級の大きな違いです。

中級は高校1年レベルの数学なのに対して、上級は大学1〜2年度の基礎数学の知識が満遍なく出題されるため、大学入試で理系を学んでいない場合は勉強時間をかなり多く見積もる必要があります。

上級は想定以上に範囲も広く(極限、微積分、三角関数、指数・対数関数、2項定理など)計算の多いヘビーな問題も多く出題されるため、合格者でも時間が足りないという方も多いです。

データサイエンス数学ストラテジストでは公式ホームページで複数のサンプル問題を公開しています。より詳細に違いを確認したい方はそこで確認しましょう。

データサイエンス数学ストラテジストの勉強方法

データサイエンス数学ストラテジストは合格率が非公開かつ、2021年開始の新設資格のため「過去」に関する情報が少なく、傾向と対策を練りにくいことも特徴です。

そこで今回は編集部がGoogle検索で合格者体験談ブログを6つピックアップし、受験対象者の前提知識、学習にかかった勉強時間、勉強につかった手段(本、講座など)を具体的にまとめてみました。

データサイエンス数学ストラテジストの合格者体験談

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記事タイトル前提知識勉強時間勉強方法
データサイエンス数学ストラテジスト【中級】受験方法と勉強法・中学数学もわからない分野がある状態-中学3年の教材を使用して学習
データサイエンス数学ストラテジスト(中級)の難易度と資格取得体験記・実務でデータ分析のコンサルタント・数検1級、G検定保持者なしなし
データサイエンス数学ストラテジスト(上級)の難易度と資格取得体験記・実務でデータ分析のコンサルタント・数検1級、G検定保持者5時間・公式問題集を活用
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【合格】データサイエンス数学ストラテジスト(上級)を受けてみた・理系-・公式問題集を活用
【合格体験記】データサイエンス数学ストラテジスト(上級)に合格しました・学部生(理工学部で数学・情報を専攻)-・公式問題集を活用・線形代数、微分積分、深層学習、微分方程式は別書籍で補填

勉強方法はひたすら過去問を解いていく

合格者は総じて問題集を用いて、解く→わからない箇所を深堀りするというプロセスで合格をしています。

数学力を問う試験の特性上、他の資格と異なり用語理解や概念・理論の理解などが必要ないため、演習問題をひたすら解くことが効率のよい勉強方法です。

また、公式問題集の解答例は前提知識の省略が多く、個々の分野(線形代数、微分積分など)を深掘りするには別の教科書を用いているパターンが多いです。

合格者が試験分野の深掘りにつかっていた参考書例

分野参考書
微分・積分解析入門 Ⅰ(基礎数学2)
線形代数線型代数入門 (松坂和夫 数学入門シリーズ 2)
確率・統計確率・統計入門
機械学習・深層学習ディープラーニングAIはどのように学習し、推論しているのか

データサイエンス数学ストラテジストの対策のおすすめ参考書

ここからは合格体験談と編集部の知見をベースに、出題範囲への対策となる参考書をひとつずつ紹介していきます。

また、編集部では機械学習・データサイエンスに必要な数学を学べるおすすめ書籍をまとめた記事も執筆しておりますので、ぜひそちらもご確認ください。

【中級も上級も必須】データサイエンス数学ストラテジスト公式問題集

合格者体験談を見る限り、ほぼ100%の受験者が活用しており、中級も上級も受験者には必須の参考書です。

公式ホームページでは出題範囲は詳しく載っていないため、実質的にはここで詳細に確認していくことが必要となります。問題と解説が80問掲載されており、全範囲をさらうには十分です。

ただし前提が省略されて説明されていたりと、各分野を深く理解する際には補足として専門教材を活用しましょう。

また、公式問題集には誤値が多いため、公式ホームページで正誤表(解答の訂正)が公開されています。疑問を感じたら、こちらを参照しながら解答を進めましょう。

【中級】中3数学をひとつひとつわかりやすく。改訂版

中級の出題範囲は高校1年レベル(数学I+ A)までのため、中学数学も多く出題されます。

文系出身者や大学受験から日が遠くなってしまった方などは、正直に中学数学からの学び直しが必要な方もいらっしゃるでしょう。

方程式や平方根の計算などが抜け落ちていた場合、「問題の解説を読んでも式の変換が理解できない」ことも起こり得ます。

本書はレビューの高さ(星5つ中の4.3 *2023年2月時点)もさることながら、1回の単元に必要な勉強時間は約15分でイラストを用いて要点をわかりやすく説明しています。

実際に中級合格者も学び直しに活用していることから、学習範囲の補填に本書の活用も有効といえそうです。

【中級】ディープラーニングAIはどのように学習し、推論しているのか

本書はタイトル通り、AIがどのような処理を経て学習/推論しているのかという「全体の流れ」を図・イラストを多用して説明する良書です。

レベルとしては中学レベルの数学のみを用いて、数式を一切使わない説明がされているため、中級での機械学習・深層学習分野において学習の補助になります。

多くの深層学習の教材は指数関数や対数関数などの微分は文系では学ばない分野も必要になるため、初心者向けとしては非常にありがたい本です。

さらに、代表分野である「画像認識」や「自然言語処理」などの代表的な分野に対して、処理がどのようなコードで表現されるかをプログラミング未経験者でもわかるかたちで説明しています。

【上級・数学の補足に】やさしく学べる基礎数学ー線形代数・微分積分ー

「やさしく学べる」シリーズがおすすめです。本書は前の本を前提に構成がされていることから、微分積分」「線形代数」などの統計分野に近い応用数学をまとめて学べるのが特徴です。

本書のコンセプトの「やさしく学べる」という言葉通り、高校数学が苦手だった大学生にも分かるよう丁寧に解説されていることが特徴です。序盤は四則演算の延長に過ぎないような計算難易度から始まります。

年数が経った本にしては珍しくKindle版で購入できることもおすすめのポイントです。3冊買ったとしても、かさばらないことも本を持ちたくない方にとってはメリットでしょう。

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この記事を書いた人

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