資格講師が解説!MOS(Excel)は役に立たない?取得するメリットと勉強方法を詳しく解説

MOSはExcelやWord、AccessなどMicrosoft office製品の利用スキルを証明できる資格。累計受験者数が490万人(2023年4月現在)を超えている、事務系の人気資格です。

中でも、「MOS Excel」はExcel操作を基礎から応用まで幅広く学習できるため、業務効率化やスキルアップの証明にもなる、おすすめの資格です。

これから社会人になる学生や事務的なスキルを身に着けたい人に取得をおすすめしたい資格の一つですが、実際に取得することで「どんな知識を得られるのか」「どんなキャリアパスがあるか」具体的にわかっていない方も多いでしょう。

そこで本記事では、データ分析の資格講師かつ現役データサイエンティストとして日々データ分析に携わっている経験をもとに、MOSを学習する際のおすすめの参考書を詳しく解説をしていきます。

監修者
經田 原弘
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻修了。大学時代は3次元の医療データの平滑化処理を研究テーマとし、大学院時代はJAXAと協業し、月探査機かぐやの衛星データから、月面上の水の存否について調査していた。新卒では株式会社リクルートにてレコメンドシステムの開発等に従事し、現在は製造業系スタートアップにてデータサイエンティストとして勤務。応用情報技術者試験・E資格合格者。

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目次

「MOSが役に立たない」といわれている3つの理由

資格取得には時間もお金もかかるので、取得することでどのようなメリットがあるのかは先に知りたいところ。特にMOSは2023年時点で累計490万人以上が受験している世界的に人気の資格ですが、初心者向けの資格でもあります。

そこで今回は編集部が「本当に取得する意味がない資格なのか」を定量・定性的に検証していきます。編集部が調べたなかでMOSが役に立たないと言われている理由を集約すると下記の3点になると考えます。

「MOSが役に立たない」といわれている3つの理由
  1. 合格率が高く、資格取得が容易だから
  2. 実務的なスキルが身につかない
  3. 就職や転職するときに役に立たない

理由①:合格率が高く、資格取得が容易だから

MOSは合格率が高く、資格取得が容易だから役に立たないといわれることがあります。
たとえば、Excel資格として同様にレベル分けがされている「ビジネス統計スペシャリスト」「日商PC(データ活用)」を「初級者向け」と「中級者向け」に分けてみていきます。

「初級者向け」と「中級者向け」の分類は下記の通りです。

  • 「中級者向け」:MOS(上級レベル)、ビジネス統計スペシャリスト(エクセル分析スペシャリスト)、日商PC(1級)
  • 「初級者向け」:MOS(一般レベル)、ビジネス統計スペシャリスト(エクセル分析ベーシック)、日商PC(2級)
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試験中級者向け初級者向け
MOS60%80%
ビジネス統計スペシャリスト45%65%
日商PC(データ活用)36.4%67.6%

他のExcel系資格と比較するとMOSは「初級者向け」「中級者向け」ともに合格率が高く、数値上は難易度が低いようにみえます。

MOSはMicrosoftに公式認定を受けた資格試験で、品質が一定保証されています。つまり、合格率の高さを裏返すと「受験をすれば、Microsoft Office ツールの使い方を一定の基準までマスターできる」という、費用対効果(コスパ)・時間対効果(タイパ)のよい資格なのです。

たとえば、以下のようなことをマスターできます。

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レベルマスターできること
一般レベル・関数や式を利用して、計算ができる
・ピボットテーブル、条件付き書式を活用できる
・データを整理・管理し、グラフやチャートを作成・編集できる
上級レベル・マクロやVBAを使って、自動化・効率化することができる
・外部データソースに接続し、データの更新を自動化できる
・データモデリングやシナリオ分析など高度なデータ処理ができる

ビジネス統計スペシャリストや日商PCではExcel以外の知識も問われます。上記のようにExcelスキルを網羅的に学習、マスターできる資格はMOS以外にないので、Excelの知識を網羅的に学習できます。

そのため、MOS学習を通じてExcelスキルの土台作りができるので、Excelのスキルアップを考えている方にとってMOSは非常に有効です。

理由②:実務的なスキルが身につかない

MOSはExcelの操作方法に関する出題がメインであり、実務で活用できるスキルが身につかないので役に立たないといわれています。

実際に、Excel資格として同様にレベル分けがされている「ビジネス統計スペシャリスト」「日商PC(データ活用)」を「初級者向け」と「中級者向け」のレベルごとに出題範囲を比較してみましょう。

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試験中級者向けの主な出題範囲初級者向けの主な出題範囲
MOS・マクロの作成や編集
・関数を活用したデータの検索
・入力規則や条件付き書式の設定
・数式のトラブルシューティングの実行
・高度な機能を使用したグラフやテーブルの作成や編集
・名前付き範囲の定義
・グラフの作成と書式編集
・テーブルの作成と書式変更
・データのフィルターと並べ替え
ビジネス統計スペシャリストt検定
・F検定
回帰分析
・クロス集計
カイ二乗検定
・変量データのまとめ方
上記をExcelで算出する
最頻値
最適化
レンジ
標準化
標準偏差
度数分布表
移動平均相関分析/回帰分析
上記をExcelで算出する
日商PC(データ活用)日付などの関数を活用する
散布図などの特殊グラフ作成
CSVファイルの取り扱い
・ピボットテーブルを使ったデータ分析
情報セキュリティやコンプライアンス
・表やグラフの作成
電子認証の仕組みについて
・関数を活用して、売上や利益率を計算する企業実務で必要とされるビジネスデータの取り扱い

たしかに、ほかの資格と比較して、MOSはグラフ・ピボットテーブルの作成や関数についてなどExcelの操作方法に焦点を当てており、高度な分析やビジネスに直結するスキルに関する出題は少ないため、実務で直接役立つイメージは湧きにくいでしょう。

しかし、ピボットテーブルを使うとデータ更新の自動化ができるようになったり、トラブルシューティングを行えることで数式エラーに迅速に対応できるようになったりするので、学習内容によっては業務で非常に役立つといえます。

さらに、フィルター機能やグラフの作成といった基本スキルからHLOOKUP、MATCH、 INDEX関数やマクロなどの応用スキルまで幅広くExcel操作を学習できる資格はほかにありません。

Excel操作を網羅的に学習でき、実務で活用できるスキルを身に付けることができるので、実務的なExcelスキルを身に付けるための土台になるでしょう。

理由③:就職・転職・キャリアアップに役に立たない

上記2つのように「資格取得が容易」「実務で役立つスキルが身に付かない」と考えられているため、MOSは就職や転職で役に立たないといわれています。

実際に、「Indeed (インディード)」で掲載している各Excel資格の求人件数を見てみましょう。(2023年4月現在)

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試験求人件数
MOS Excel6,046件
ビジネス統計スペシャリスト2,087件
日商PC2,402件
Excel表計算処理技能認定試験67件
情報処理技能検定試験(表計算)47件
※「Indeed (インディード)」を参照して作成

「MOS Excel」の記載がある求人数は6,046件とExcel資格の中で一番多くあります。とくに、事務職の求人でMOSの記載が多いため、事務職のようなExcel操作の多い職種では就職や転職に有利になるといえるでしょう。

また、MOS取得によって基礎的なExcelスキルを網羅的に身に付けられるとの理由から、MOS取得を昇格要件にしている企業もあります。

たとえば、双日株式会社や兼松株式会社などの大企業でもMOS Excelを昇格要件や内定者研修に導入しています。そのほか、実際にMOSを活用している企業は以下の記事から確認できます。

これらからMOS取得が就職・転職・キャリアアップに有利になることがわかります。

MOSの取得メリット3選

ここからはMOSの取得メリットを3つ紹介します。主に以下の3つのメリットがあるといえるでしょう。

MOSの取得メリット3選
  1. 学んだExcelスキルを活かして業務効率化できる
  2. データ分析の基礎知識を身に付けることができる
  3. プログラミングスキルを身に付けることができる

役立つ理由①:学んだExcelスキルを活かして業務効率化できる

1つ目のメリットはMOSで学んだExcel知識を活かして業務効率化できることです。たとえば、以下のようなことができるようになります。

・データの自動更新

マクロ機能やVBAを活用することで、繰り返し作業を自動化し、業務効率を向上させることができます。たとえば、クエリを活用してデータを自動的に更新することができるようになります。

これにより、手動で行っていた作業の時間短縮やミスの軽減を実現し、業務全体の生産性向上に貢献します。

・Accessと連携させてビックデータを効率的に扱う

Excelのみでデータを管理すると、ひとつのシートで扱えるデータの量に限りがあり、ビックデータを扱うことはできません。AccessとExcelを連携させることで、扱えるデータ量が膨大になり、ひとつのシートでデータを管理・編集することができるようになります。

これらのように、MOSの学習内容は業務効率化に直結する内容も多く含むため、実務で業務の自動化や効率化をしたいという方に非常におすすめです。

役立つ理由②:データ分析の基礎知識を身に付けることができる


2つ目のメリットは、①データの整理と前処理 ②統計学の基礎知識 の2つの学習を通じて、データ分析の基礎知識を身に付けることができることです。

たとえば、MOSではデータのフィルタリングやソート、重複データの削除、ピボットテーブルなどを活用して、データを整理や集計、分析、グラフ化などデータの整理と前処理の方法を学びます。

データの整理と前処理は、データ分析の正確性や効率に大きく影響するので、データ分析で正しい導出を導くために非常に重要になります。

また、AVERAGE、MEDIAN、STDEVなどの関数の学習を通して、中央値や標準偏差などデータ分析に必要な統計学の基礎知識も併せて学ぶことができます。

正しい統計知識を身に付けることで、外れ値を除外したり、予測精度を判断できたりするので、データ分析の結果の信頼性判断や予測モデルの作成に役立てることができます。

このようにデータ分析に関する知識を身に付けることで、実務でデータ分析を行うときに活用できるので、MOSが役立つといえるでしょう。

役立つ理由③:プログラミングスキルを身に付けることができる

3つ目のメリットはプログラミングスキルを身に付けることができることです。

MOSの上級レベルではVBAを活用したマクロや自動化を学習します。VBAは条件分岐や関数などの基本構造を持ち、Pythonなどのプログラミング言語と非常に親和性があります。

そのため、Excelという身近なツールでコードを書き、実行まで移すことで、業務効率化の実現だけでなく、プログラミングの基礎理解につながり、つまずきにくくなるでしょう。

今後プログラミングを学習したい方にとってはVBAの学習はプログラミング知識の土台作りになるといえます。

MOSは独学で合格できる?

MOSは合格率の高い資格ですが、しっかり対策しなければ合格することはできませんここからはMOSの具体的な勉強方法を紹介します。

MOS(Excel)合格者の勉強方法

また、編集部がMOSの合格者体験談をピックアップし、合格者の勉強方法、勉強期間、取得メリットを具体的にまとめてみました。

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取得科目勉強方法勉強期間取得して感じたメリット
Excel365&2019(一般レベル)市販の対策テキスト付属の模擬テスト1か月関数やリスト化、テーブル化を利用して作業時間を短縮できた
Excel365&2019(一般レベル)Excel365&2019(上級レベル)市販の対策テキスト付属の模擬テスト各1か月(7科目全取得に約半年)最低限知っておくべきOffice製品の基本的な機能を学べたこと
Excel365&2019(一般レベル)Excel365&2019(上級レベル)市販の対策テキスト付属の模擬テスト約1か月MOS対策を通じたがk須裕でこれまで使わなくて知らなかった機能知り、これらを活用して業務がスムーズになったこと

上記の合格者の例を参考にすると、以下のような勉強方法がおすすめです。

MOS合格者の勉強方法

STEP①:テキストで基礎知識を学ぶ

STEP②:模擬テストで問題演習を積む 

テキストで知識をしっかりインプットしたあと、模擬テストで問題演習をして、理解度を確認したり、苦手盲目を復習することで、学習内容を頭に定着させることがポイントです。

MOS対策のおすすめ参考書

さまざまな学習方法がありますが、MOS学習には参考書が最もおすすめです。

MOSの出題範囲はExcelの基本操作に関する出題が非常に多くなっているので、高い費用をかけてまで学習する必要はなく、費用が最も安く、自分のペースで学習できる参考書がよいでしょう。

編集部が厳選したおすすめの参考書は以下の4冊です。

【Excel初学者向け】エクセル兄さんが教える  世界一わかりやすいMOS教室

本書は人気Excel YouTuberの「エクセル兄さん」著書で、本と連携したYouTube動画の2つで学習を進めることができるので、本での学習に不安のある方に非常におすすめです。

イラストやたとえ話を多用したり、実務でどのように活用できるかを解説しているので、初学者でもExcel操作や活用イメージがわかりやすく書かれています。

学習内容もほかのMOS対策と異なり、出題範囲を網羅的に100%カバーしている訳ではありません。出題範囲の70〜80%のカバー率ですが、重要なポイントだけを深く解説しているので、合格に向けて効率的に学習を進めることができます。

ただし、模擬テストはないので、本番同様の問題演習を積みたい方は下記のような問題演習のみの参考書を次に活用しましょう。

【一般レベル対策】MOS攻略問題集Excel 365&2019

本書は一般レベルの出題内容を100%カバーしており、練習問題と模擬テストで手を動かしながら理解度を測ることができます。

「練習問題+機能の説明+操作手順」という3ステップで手を動かしながら学習できるため、学習内容が頭に定着しやすいメリットがあります。また、本書は本番と同じ出題形式で作成されているため、MOS独特の言い回しなども学習できます。

5回分の模擬テストが付いており、1問ずつステップを踏んで採点結果を確認できる「練習モード」と、本試験と同様の問題形式で出題・採点される「本番モード」の2つの方法があるので、自分に合った方法で学習することができます。

テキストでのインプットは少ないので、Excel初学者は上記の参考書と併せて学習することをおすすめします。

【一般レベル対策】MOS Excel 365&2019 対策テキスト&問題集 (よくわかるマスター)

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「知識→問題→解説」の順で構成されていて学習内容をすぐに実践できるので、手を動かしながらExcel操作を学習したい方に非常におすすめです。

Amazonレビューも評価4.3/5(1,425個のレビュー)と非常に評価も高く、この1冊のみで一般レベルに合格したという声もありました。

テキストと5回分の模擬試験が1冊にまとまっており、問題演習でMOS独特の言い回しも学習できるので、試験対策は本書でばっちりでしょう。

【上級レベル対策】MOS Excel 365&2019 Expert対策テキスト&問題集 (よくわかるマスター)

上記と同じシリーズの参考書で「知識→問題→解説」の順で構成されていて、難易度の高いマクロやVBAの学習も実際に手を動かして理解を深めながら学習できるので、学習内容が定着しやすくなっています。

Amazonレビューも評価4.4/5(433個のレビュー)と非常に評価も高く、この1冊のみを使って10日程度の学習期間で上級レベル(エキスパート)に合格したという声もありました。

テキストと5回分の模擬試験が1冊にまとまっており、問題演習でMOS独特の言い回しも学習できるので、試験対策は本書1冊で十分でしょう。

まとめ

MOSが役に立たないといわれている理由や取得メリット、勉強方法を紹介してきました。

MOSは業務効率化でき、データサイエンティストの土台作りになるというメリットがあるので、取得価値があるといえるでしょう。本記事が学習を始めるきっかけになれば幸いです。

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この記事を書いた人

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