pythonは多様なライブラリ・フレームワークに対応しており、ディープラーニング・AI開発において、注目を集めているプログラミング言語です。
ライブラリを活用してExcelと連携することで、データ収集の自動化や膨大な量のデータ分析をすることができるようになり、日々の業務効率化を実現できます。
しかし、PythonをどのようにExcelに連携するのかわからない、具体的にどのような業務が自動化できるのかイメージが付かないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事ではPythonをExcelに連携させることで、どのようなメリットがあるのか、具体的にどのようなことができるのかまで詳しく解説していきます。
また、現役データサイエンティストとして日々Pythonに携わっている経験をもとに、Python×Excel連携を学習できるおすすめ参考書も詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
監修者
經田 原弘
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻修了。大学時代は3次元の医療データの平滑化処理を研究テーマとし、大学院時代はJAXAと協業し、月探査機かぐやの衛星データから、月面上の水の存否について調査していた。新卒では株式会社リクルートにてレコメンドシステムの開発等に従事し、現在は製造業系スタートアップにてデータサイエンティストとして勤務。応用情報技術者試験・E資格合格者。
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PythonのExcel連携がおすすめの理由
Excelの業務効率化したいという方の中には「PythonとVBAどちらを使えばいいのかわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
結論からいうと、PythonのExcel連携がおすすめです。ここではPythonがExcelに連携がおすすめといえる理由を3つ紹介します。
おすすめ理由①:短いコードでスクリプトを書くことができる
おすすめ理由②:汎用性が非常に高い
おすすめ理由③:VBAよりも複雑な処理を実行できる
理由①:短いコードでスクリプトを書くことができる
Pythonは文法が非常にシンプルで直感的にわかりやすく、短いコードでスクリプトを記述できます。
たとえば、Excelのデータを読み取り、解析した結果を新たなExcelシートに出力するというタスクを自動化する方法で、PythonとVBAの各コードを比較してみましょう。Pythonなら以下のように数行程度のコードで完結します。
import pandas as pd
# Excelファイルを読み込む
df = pd.read_excel('data.xlsx')
# データを解析する(ここでは平均値を計算)
average = df.mean()
# 結果を新たなExcelファイルに出力
average.to_excel('output.xlsx')
これに対して、VBAでは下記のように数十行にも及ぶコードが必要になります。
Sub AnalyzeData()
' Workbook and Worksheet variables
Dim wb As Workbook
Dim ws As Worksheet
Dim wsOutput As Worksheet
' Data range variable
Dim rng As Range
' Open the workbook
Set wb = Workbooks.Open("data.xlsx")
Set ws = wb.Sheets(1)
' Define the data range
Set rng = ws.Range("A1:B10") 'Assuming data in cells A1 to B10
' Create a new worksheet for output
Set wsOutput = wb.Sheets.Add(After:=ws)
' Calculate and write the averages to the new worksheet
wsOutput.Range("A1").Value = Application.WorksheetFunction.Average(rng)
' Save the output
wb.SaveAs "output.xlsx"
wb.Close SaveChanges:=False
End Sub
このように、PythonはVBAと比べて同じタスクをより少ない行数で実現することができます。そして、短いコードでスクリプトを書くことで、以下のようなメリットがあります。
同じ機能を実現するために必要なコードの行数が少なければ、それだけ開発に必要な時間も短くなります。
そのため、Excelに連携するためにコードを書く時間をVBAよりも大幅に短縮することができるので、ほかの重要な業務に集中することができるでしょう。
メリット:Excelに連携するための開発時間を短縮できる
Excelシートのデータ構造(列名、行数、データ形式など)が変わったときや新たな分析が必要になったとき、コードを書き換える必要が出てきます。このとき、Pythonでコードを書いていると、コードが短いため、修正しやすく再利用も容易に行うことができます。
さらに、可読性も高いので、少しPython学習したチームメンバーならばコード編集もでき、チーム全体の業務効率化を実現できるでしょう。
理由②:汎用性が非常に高い
Pythonの方がVBAよりも汎用性が高く、Excel以外にも幅広く活用できるというメリットがあります。たとえば、Pythonは外部アプリ・ウェブなどExcel以外とも連携することができます。
Pythonでウェブスクレイピングを行い、取得したデータをExcelファイルに保存することができたり、この処理を定期的に実行するようにスケジュールすることができます。自動的にデータ収集ができるので、手動で行ったときのヒューマンエラーがなくなったり、最新データを活用した適切な示唆出しができるようになります。
メリット:Excelだけでは扱えないビッグデータを扱える
Pythonはビッグデータプラットフォーム(Apache Sparkなど)との連携も容易にできるので、大量のデータ処理や分析も可能です。
Pythonと連携することで、Excelだけでは扱いきれない大量のデータ処理や分析ができたり、データ抽出に手間がかかるAccessなどを使用する必要がなくなり、作業時間の短縮ができるでしょう。
上記のように、Pythonは広範なアプリケーションやライブラリと連携することができます。これにより高度なデータ分析や分析結果の示唆出しが可能となります。
理由③:VBAよりも複雑な処理を実行できる
Pythonのライブラリやフレームワークを活用すると、VBAでは実行の難しい以下のような複雑な処理を実行することができます。これにより、以下のようなメリットがあります。
Pythonのグラフ作成ライブラリ(matplotlib・seabornなど)を使用して、Excelデータをグラフやチャートとして視覚化できます。データ入力するだけで、自動的にグラフ化できるため、効率的に業務を進めることができます。
さらに、自動的に読み込めるデータならば、一度Excelと連携するだけでグラフ化まですべて自動で実行できるので、PC操作すら不必要になります。たとえば、下記のようにExcelでは描写の難しい3DプロットグラフをPythonでは自動作成できます。
メリット:レポート作成を自動化できる
Pythonはビッグデータプラットフォーム(Apache Sparkなど)との連携も容易にできるので、大量のデータ処理や分析も可能です。
Pythonと連携することで、Excelだけでは扱いきれない大量のデータ処理や分析をすることができたり、データ抽出の手間がかかるAccessなどを使用する必要がなくなり、作業時間の短縮ができるでしょう。
Python×Excel学習のおすすめ参考書
ここからは編集部が厳選したPython×Excel学習ができる良書を紹介していきます。
仕事がはかどるPython&Excel自動処理 全部入り。 (できる全部入り。)
本書はビジネス実務効率化に焦点を当てており、「グラフを作成する」「ブックの体裁を一度に整える」「複数のシートから集計シートを作成する」など身近な業務を想定した用例を用いて、PythonとExcelの連携スキルをすぐに業務に活かすことができます。
Python初学者の読者を想定しており、どのサンプルコードも短く、簡単に書けるように徹底されており、プログラミングに苦手意識のある方もつまずきにくいでしょう。
また、本書の後半ではPythonの豊富なライブラリの活用法もしっかり解説しており、Excel単体では難しい外部アプリケーションとの連携スキルも身に付けることができます。
Python×Excelで作る かんたん自動化ツール
本書はPythonの基礎学習からスタートして、最終的にはそれをExcelと組み合わせて自動化ツールを作る方法までを学ぶことができるので、Python知識もしっかり身に付けることができます。
また、本書は自身が自動化できるようになることはもちろん、職場のチームメンバーも作成した自動化ツールを扱えることを目的に書かれています。
そのため、「だれでも使えるExcelを使って入力・設定を行う方法」や「Pythonがインストールされていない環境でもプログラムを実行する方法」も学習できるので、本書1冊で職場全員の業務を効率化できるでしょう。
実際、Amazonレビュー評価4.1/5(2023年6月現在)と非常に高く、読者の満足度も高いので、おすすめです。
Excel×Python逆引きコードレシピ126
本書は「Excel×Python」を専門にした使えるコード集となっており、Excelを取り扱うのに必ず出てくる処理それぞれにお手本となるコードを作り、126の有用なコードが1冊にまとまっています。たとえば、セル・書式・関数・条件付き書式などExcel業務で活用する操作の自動化を幅広く学習することができます。
さらに、本書の後半ではフィルター・データ集計などの応用操作の自動化やpandasを活用した自動化の方法まで学習することができます。
プログラミング学習にかける時間をできるだけ抑えながら業務効率化を実現できるので、忙しいビジネスパーソンに非常におすすめです。
Pythonでかなえる Excel作業効率化
本書はPythonの基礎知識についても丁寧に解説したあとに、Excelの自動化の方法を学習できるので、Pythonの知識もしっかりつけたいという方におすすめです。また、Excelだけでなく、GoogleスプレッドシートとPythonを連携する方法も解説しています。
スプレッドシートとの連携方法を載せている参考書はほかにないので、業務でスプレッドシートを使っている方は本書での学習がおすすめです。
さらに、応用知識としてWEBスクレイピングでデータを取得する方法やデータ分析の手法も学習できるので、今後Pythonを幅広く活用するための土台作りになるでしょう。
Excel×Python最速仕事術
本書はPythonの基礎知識を身に付けつつ、Excelへの連携方法も学習できるので、プログラミング知識も併せて身に付けたい方におすすめです。
「個々の伝票から売上を集計するプログラム」「受注データをクロス集計するプログラム」など実務でよく使う事例を取り上げており、実務ですぐに学習内容を活かせるようになっています。
初学者に難しい内容は補足説明があったり、イラストや図で学習内容を直感的にイメージしやすくしているので、初学者でもつまずきにくいでしょう。また、本書の後半ではVBAを応用する方法も解説しており、VBAにも触れてみたいという方にもおすすめです。
めんどうな作業が秒速で終わる! Excel×Python自動化の超基本
本書はデータ入力、データ加工、グラフ作成など実務でよく使うExcel操作の自動化の方法を図解を交えて、初学者にもわかりやすく解説しています。
また、著者がIT・プログラミングの教育YouTuberでもあるので、本書の学習内容をYouTube動画でも学習することができるので、本での学習が不安な方にもおすすめです。
さらに、PythonをPCにインストールする方法もMac・Windowsそれぞれで学ぶことができたり、サンプルコードをそのままコピペして実務で使えるようにしていたり、Python初学者がつまずきにくいように書かれています。
まとめ
PythonをExcelに連携するメリットやPython×Excelを学習できるおすすめ参考書を紹介してきました。自分に合った参考書は見つかったでしょうか。
PythonをExcelに連携させると、あらゆる操作を自動化して、業務効率化を図ることができるので、実務ですぐに活用したい方に非常におすすめです。本記事が学習を始めるきっかけになれば幸いです。
編集部ではPython・Excelに関連する記事をほかにも公開しています。興味のある方はぜひこちらの記事もご覧ください。