現役AI講師が解説!統計検定は意味ない?取得メリット・使い道を紹介

統計検定はデータサイエンスやAIに使われるような数理統計の知識を問う資格試験。受験者数は年間で4000人を超える人気資格です(2021年実績)。

学習のニーズは高まっているものの全部で10種ある統計検定、どの資格がどう役立つのかわからず、資格学習を迷っている方もいらっしゃるでしょう。

本記事では現役のデータサイエンティストかつG検定講師に監修いただき、統計検定の取得メリットを徹底解説していきます。

編集部では他にも統計検定2級・3級の難易度や勉強方法を解説した記事も公開していますので、気になる方は下記リンクからご覧ください。

監修者
經田 原弘
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻修了。大学時代は3次元の医療データの平滑化処理を研究テーマとし、大学院時代はJAXAと協業し、月探査機かぐやの衛星データから、月面上の水の存否について調査していた。新卒では株式会社リクルートにてレコメンドシステムの開発等に従事し、現在は製造業系スタートアップにてデータサイエンティストとして勤務。応用情報技術者試験・E資格合格者。

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目次

統計検定の取得に意味がないと言われている理由

時間も労力もお金もかかる資格学習において、どれほど役に立つのかは気になるところ。

今回は編集部の独自の調査で、統計検定の取得が意味ないといわれる2つの観点をそれぞれ定量的に検証ていきます。

統計検定取得が意味ないと不安になる観点を言語化すると、下記2点に集約されると考えています。これらが事実なのか・それとも噂レベルのものなのか評価が難しいところです。そこで編集部は、理由に対して検証を行っていきます。

理由検証方法
資格知名度が低い他の資格と比較して受験者数がどれくらいか
難易度が低い他の資格と比較して合格率がどれくらいか

理由①:資格知名度が低い

AI・統計系資格の受験者数比較表
資格名受験者数(年間)
DS検定1,400名
G検定6,760名
E資格1,170名
統計検定 4級147名
統計検定 3級320名
統計検定 2級731名
統計検定 準1級704名
統計検定 1級(統計数理)872名
統計検定 1級(統計応用)789名
統計調査士128名
専門統計調査士74名

*「統計検定 データサイエンス基礎」「統計検定 データサイエンス発展」「統計検定データサイエンスエキスパート」については2022年10月時点で非公開のため除外
*2021年の1回あたり受験者数データをもとに編集部で作成

まずは資格の人気度を各試験の受験者数から紐解いていきます。

AI系の人気資格であるG検定(6760名)やDS検定(1400名)と比較すると、統計検定の1回あたりの受験者数は74〜872名とやや少ないように言えます。

ただし、統計検定は複数の級・種類に分かれているため、単純に一種あたりの受験者数の比較で知名度は測れないでしょう。

重複を考慮しなければ、10種すべての「統計検定各級の受験者数の総数」を見ると年間4000名を超えており、G検定・DS検定と並ぶ程度の人気はあります。少なくとも「知名度の低い資格ではない」といえるでしょう。

理由②:難易度が低い

AI・統計系資格の難易度比較表

試験種別合格率必要な勉強時間
DS検定非公開20~50時間
G検定62.1%30~50時間
E資格74.5%100〜200時間
統計検定 4級72.8%20~30時間
統計検定 3級75.6%20~30時間
統計検定 2級34.1%50~70時間
統計検定 準1級23.6%80~150時間
統計検定 1級(統計数理)25.8%100~150時間
統計検定 1級(統計応用)24.0%100~150時間
統計調査士28.9%20~30時間
専門統計調査士25.7%20~30時間

*「統計検定 データサイエンス基礎」「統計検定 データサイエンス発展」「統計検定データサイエンスエキスパート」については2022年10月時点で非公開のため除外
*2021年の1回あたり受験者数データをもとに編集部で作成

統計検定は3・4級とそれ以外(2級・準1級・1級・統計調査士・専門統計調査士)で大きく難易度が変わります。

統計検定3・4級は合格率が72.8〜75.6%と7割を超えていますが、それ以外(2級・準1級・1級・統計調査士・専門統計調査士)は23.6〜34.1%と大きく違います。

また、出題範囲も理系大学で学ぶような応用数学に匹敵するため、学習にあたっての数学前提知識も大きく変わってきます。

統計検定取得にメリットはある?

それでは上記の検証結果を前提としたとき評価は人により分かれると思いますが、筆者は「統計検定を取得する価値はある」と考えます。

データサイエンティストに必要なスキルセット

そもそもデータサイエンティストになるにはどのようなスキル・知識のジャンルが求められ、どれくらいのレベルで習得しておくべきなのでしょうか? そこでデータサイエンス協会の公式資料を参考に考えていきます。

出典:データサイエンティスト協会

上記の図は、同協会が定義したデータサイエンティストに必要な3つのスキルセットです。データサイエンティストに必要なスキルを、①データサイエンス力、②データエンジニアリング力、③ビジネス力の3つに大別しています。

①データサイエンス力情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力
②データエンジニアリング力データサイエンスを意味のある形に使えるように実装・運用できるようにする力
③ビジネス力課題背景を理解した上でビジネス課題を整理し解決する力

統計検定は上記のデータサイエンス力・データエンジニア力に必要な「数理・統計知識」が身につく資格になっています。たとえば、マーケティング施策の効果を図る際には統計検定2級の仮説検定の知識が必要になりますし、機械学習のモデルを組む際にも数式の理解は必須です。

出典:「ビッグデータ時代のデータサイエンティスト育成の取り組み

また、統計数理研究所の「ビッグデータ時代のデータサイエンティスト育成の取り組み」ではデータサイエンティストに求められるスキルセットが統計検定の級ではどのレベルにあたるかが記されています。

「見習いレベル」は理系修士入学者レベルの2級と相当され、「独り立ちレベル」は準1級相当、「棟梁レベル」は1級相当のスキルだとされています。

編集部では統計検定2級の難易度や勉強方法、参考書についてまとめた記事も紹介しておりますので、興味のある方はぜひそちらもご参考ください。

統計検定の勉強方法

ポイント①:出題範囲表・チートシートで試験範囲の全体像を把握する

まずは試験範囲の全体像を理解することから始めましょう。試験全体像理解の方法は大きく分けて2つあり、①出題範囲表 ②チートシートの活用 です。

出題範囲表

統計検定2級出題範囲表
統計検定2級 出題範囲表

統計検定の公式HPには各級の出題範囲をまとめた表が公開されています。いわばこれが統計検定の「全試験範囲」であり、こちらの分類に対応する問題を6~7割以上正答できたとき合格となります。

過去問や参考書で学習進捗を確認するために活用しましょう。過去問を解く際、大抵の場合、設問内の設問に試験範囲となる語句が記載されています。

統計検定 過去問

イメージとしては、この問題では設問内に記載されている「区間推定」という語句を出題範囲表のなかで調べます。過去問の正誤に合わせて、どこが弱点かを明らかにしていくとより学習が効率的となるでしょう。

チートシート

統計検定 チートシート
チートシート

公式ではないですが、出題範囲と概要をまとめた「チートシート」と呼ばれる早見表が話題となっています。

特に2級以上では数多くの数式の暗記と活用が必要になります。チートシートを活用すれば、一回一回参考書の該当部分を調べて参照するよりも、手早く公式をチェックできるようになります。

時間のある方や理解を確認しながら行いたい方はご自分で作成されるのもよいかもしれません。

以下は統計検定2級のチートシートになりますので是非ご参考ください。

ポイント②:頻出分野をリサーチ

統計検定2級には出題傾向があり、「仮説検定」「推定」「回帰分析」などの出題が多くなっていることがわかります。当然、出題される問題数が多いということは配点がそこに寄ることになるため、2級においては特に仮説検定や回帰分析の問題を多く解いていくことが合格への重要なポイントです。

下記の講座はUdemyで最高評価(2022年6月時点)と認められている講座です。9時間分の動画学習でしっかりと学習したい方はぜひ活用してみてください。

ポイント③:過去問での反復学習が何よりも大事

統計検定は語句の意味を問われるような設問は少なく、実際に数式を活用して応用的に問題を解いていくことが求められます。加えて問題数も非常に多く、数式を素早く思い出し計算していく力も必要になります。

過去問を活用して、「この問題にはこの数式を充てれば解答が導ける」というパターン認識ができるようになるレベルまで、問題集を反復していくことが重要です。

過去問の解答には標準テキストを活用しましょう。 1冊で6回分の試験に相当するため、これ1冊を購入すれば試験範囲はほぼカバーできます。

統計検定のおすすめ本・参考書

難易度(低・3~2級):完全独習 統計学入門

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書籍名完全独習 統計学入門
費用1,980円
著者名小島 寛之
評価・口コミ(Amazon)4.3 / 5 (522個の評価)

「これ以上何かを削ったら、統計学にならない」という、最小限の知識と簡単さで書かれた「超入門書」なので、統計学を初めて学ぶ方に非常におすすめです。

中学校で習う数学(ルートと1次不等式)と丁寧な計算式の解説で、文系読者でも統計検定2〜3級の知識を独習することができます。

2部構成になっており、1部では「ヒストグラム」「標準偏差」など初歩からスタートしながらも、「検定」「区間推定」という統計学の最重要項目に最短時間で到達することを目指しています。

第2部では、第1部の内容を発展させ、t分布を使った小標本の検定・区間推定などデータ分析で活用する統計知識を身に付けることができます。

ただし、統計検定2級以上の試験範囲をこの1冊のみでカバーするのは難しいでしょう。統計検定2級は数式を使って解く問題が多いため、細かい数式の意味の理解は必須となります。

難易度(中・2級):基礎から学ぶ統計学

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統計学の基礎を学ぶにあたり、編集部が心からおすすめする参考書が「基礎から学ぶ統計学」です。2022年に発売されているのにもかかわらず、Amazonレビューがほかの統計系の書籍と比較しても、ほぼ最高評価(★4.7 *2023年7月時点)です。

著者は北海道大学で20年以上教鞭に立って理系学部2-3年への統計学講義を続けてきた実績があり、カリキュラムは「仮説検定」「相関分析」「単回帰分析」など統計検定2級程度の必須統計知識を非の打ち所がない王道です。

本書の特徴は、①とにかく数学のハードルが低く(高校1-2年程度)、初心者が学習を始めるにあたってのレベルがほどよく、②カラーかつ図でわかりやすく説明していることです。

Amazonの商品詳細ページより引用

金額を無視できるほどの高品質ですので、買っても自分の身の丈に合わず買い直すよりははるかによいでしょう。

難易度(中・2級):統計学入門 (基礎統計学Ⅰ) 

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書籍名統計学入門 (基礎統計学Ⅰ) 
費用3080円
著者名東京大学教養学部統計学教室
評価・口コミ(Amazon)4.2 / 5 (266個の評価)

東京大学が出版している統計学基礎の古典的な名著です。出版年の1991年から30年間改訂が続けられており、「仮説検定」「確率統計検定2級の範囲を網羅的に解説しています。

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ) の特徴は、数式の説明が丁寧にされていることです。

数ⅡB、数ⅢCレベルの数学の前提知識ある方はこちらから取り組むのもよいかもしれません。

逆に初学者が手に取る場合はある程度時間をかけて理解する必要があるため、心配な方はまず統計学の基礎を上記の「完全独習 統計学入門」で学んだのちに、深堀のためにこちらの本を活用するとよいでしょう。

難易度(高・準1級):日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック

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学術図書出版社
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書籍名日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック
費用3,080円
著者名学術図書出版社
評価・口コミ(Amazon)4.3 / 5(103個の評価)

前提として、準1級は2級以上試験範囲が広いです。統計検定準1級の公式のテキストであり、準1級に絞っての学習ができることが大きなメリットです。

ある意味、「ここに載っている分野以外は出ない」ともいえますし、使わない場合は他の本も活用して分野をかいつまんで学習する必要がでてきます。

各分野の章末に練習問題があるため問題演習を繰り返して反復して試験に望めるようになります。

難易度(高・1級):現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

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書籍名現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)
費用3,520円
著者名久保川 達也
評価・口コミ(Amazon)4.3 / 5 (60個の評価)

1級の試験範囲が網羅的にまとまっている参考書です。上記の東京大学出版の「統計学基礎」よりは1級範囲との整合性が高く、章末問題も多く含まれているとの記載もあり統計検定1級の対策をする際は有効といえるでしょう。

ただし、証明のなかには省略されている箇所もあり、難易度として数学知識が相当ある上級者向けの本です。

過去問:日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集

書籍名日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2018〜2021年] 
費用1,980円
著者名日本統計学会
評価・口コミ(Amazon)4.2 / 5 (48個の評価)

過去問は日本統計学会から出版されている公式の過去問を活用しましょう。直近3年分・6回の試験が載っており、ボリューム感としても申し分ありません。問題集を3周できれば合格点は獲得できる水準となるでしょう。

統計検定のおすすめ講座

統計検定2級対策講座

講座名統計検定2級対策講座
内容統計検定2級の受験を検討している方のための統計学基礎講座です。約9時間の動画レクチャーと200問以上の小テストを通じて、統計学の基礎に関する「理解」と「習熟」を目指します。
費用20,000円
時間9時間4分
著者名Miyamoto Shota
評価・口コミ(Udemy)4.5 / 5(255件の評価)
受講者数(Udemy)2433人

*2022年6月時点

Udemyのなかで唯一の統計検定対策講座です。カリキュラムでは記述統計・確率統計・推測統計・仮説検定と網羅的に範囲をカバーしています。

9時間とボリュームも豊富ですし、受験の出題範囲に適した200問以上の小テストもあることから、インプットのみだけでなくアウトプットまでをまるっと動画講座のなかで学べることがおすすめのポイントです。

はじめての統計(推定・検定編) ~記述統計から推測統計へ!しっかり9時間、97レクチャーでデータ時代の入場券を手に入れる

講座名はじめての統計(推定・検定編) ~記述統計から推測統計へ!しっかり9時間、97レクチャーでデータ時代の入場券を手に入れる
内容データサイエンス時代にまず押さえるべきデータの扱い方・見方を扱った統計講座。データをどう要約し、分かりやすく伝えるのか(記述統計)から、そのデータから母集団について何が言えるのか(推測統計)まで、丁寧に統計的発想を身に付けます
費用24,000円
時間8時間44分
著者名丹羽 亮介
評価・口コミ(Udemy)4.6 / 5(23件の評価)
受講者数(Udemy)268任

統計検定2級には出題傾向があり、「仮説検定」「推定」「回帰分析」などの出題が多くなっていることがわかります。当然、出題される問題数が多いということは配点がそこに寄ることになるため、2級においては特に仮説検定や回帰分析の問題を多く解いていくことが合格への重要なポイントです。

下記の講座はUdemyで最高評価(2022年6月時点)と認められている講座です。9時間分の動画学習でしっかりと学習したい方はぜひ活用してみてください。

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この記事を書いた人

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